住宅性能評価
省エネ判断
住宅において使用されるエネルギーは、暖冷房、給湯、炊事、冷蔵庫、パソコン、テレビなどの家電製品など、実にさまざまなものがあります。
中でもその大半を占めているのが、暖冷房と給湯のためのエネルギーです。
地球温暖化防止のためにも、このエネルギー消費量を欧米並みに少なくしようと、平成11年3月に改正告示された新しい基準(「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断と基準」及び「同設計及び施工の指針」)を次世代省エネルギー基準(次世代省エネ基準)と呼びます。この基準の特徴は、目標とする省エネルギを達成できる住宅を計画するに際して、建物を建てる建築主の判断の基準となる性能規定と、建物を設計施工する際の使用を規定する仕様規定の2本立てになっていることです。
Q値計算(熱損失計算)
熱損失係数とは、一般的に「Q値」といわれているもので、住宅の断熱性能を数値的に表したものです。値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
熱損失係数は、外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)を計算し、各部位の熱損失量を合計したものを延床面積で割って計算します。
「熱損失係数」は計算が複雑になりますが、断熱性能を住宅全体で判断でき、熱貫流率や熱抵抗値では判断できない、各部位の断熱性能のバランスを把握することができます。
換気計画
換気計画の基本は、なによりも換気の経路を明確にすることです。
即ち、建物内部の空間において一方通行の空気の流れをつくり、どの居住空間にも新鮮な空気を行き渡らせ、また、水蒸気の発生箇所や汚染空気の発生源から直接排気して、それらが他の空間に拡散しないようにすることです。 分かり易くそのフローを説明すると、換気計画を立てる時には第一に給気口と排気口の位置を設定します。
給気については、外部から新鮮な空気を常時使う部屋へ取り入れ、ヒートショックを起こさないように配置計画します。
次に建物の中に大きな空気の流れる道筋を立て、給気口から入った新鮮空気がその道筋を通って流れて行くに従って汚れていき、やがてその汚染空気が排気口へと導かれるようにします。
本来は、一つの部屋ごとに給気口と排気口を設けて換気することが最も理想ですが、設備上、イニシャルコストがかかります。コストをあまりかけないで計画するとなると、間取りを開放的にして家全体を一部屋のオープンスペースと見立て換気をすれば良いわけですが、実際には寝室やトイレや浴室などは独立した区画としなければならずそう簡単にはいきません。
また、ダクトを使って新鮮空気を導入した場合はダクト内部に繁殖する微生物も健康性の問題から気になります。 給気口と排気口の配置は、排気されずに汚れた空気が循環して戻って来ないようにバランスのとれた給気口と排気口を配置計画することが大事です。
また、独立した部屋では給気口と排気口をできるだけ離し、対角線に配置するようにし、せっかく導入した新鮮な空気がすぐに排気されることなく、十分に汚れた空気と入れ換わるように、一方通行の空気の流れを作ることが重要です(ショートサーキットの防止)。
新鮮空気の給気は居間や寝室、子供部屋などで行い、排気は汚染空気や水蒸気が発生する台所、浴室、トイレなどから行うことが理想的であり、故に、臭気の発生する箇所や水蒸気が多量に発生する箇所はできるだけ分散せずにまとめた方が排気し易く換気計画が行い易くなります。しかし、一般的には、これら臭気や水蒸気の発生する箇所での換気は他室の換気システムとは別系統で、局所換気で排気だけを行っている場合が多く、このような場合どこか一箇所で排気ファンを回すと室内が負圧となり圧力バランスが崩れ、せっかく暖めた空気を捨てるばかりか、冷たい空気を導入させてしまう原因となってしまうため、圧力バランスが損なわれないように局所換気をさせた場合のみに開く空気の給気口を設置することが必要となります。 現在、我が国の住宅に係わる省エネルギー基準では、先に話した自然給気強制排気型の換気システムの使用が推奨されています。
CASBEE
「CASBEE」(建築物総合環境性能評価システム)は、建築物の環境性能で評価し格付けする手法です。省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面はもとより、室内の快適性や景観への配慮といった環境品質・性能の向上といった側面も含めた、建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。
CASBEEは、2001年に国土交通省の主導の下に、(財)建築環境・省エネルギー機構内に設置された委員会において開発が進められているもので、2002年には最初の評価ツール「CASBEE-事務所版」が、その後2003年7月に「CASBEE-新築」、2004年7月に「CASBEE-既存」、2005年7月には「CASBEE-改修」が完成しました。
CASBEEの評価ツールは、
(1)建築物のライフサイクルを通じた評価ができること、
(2)「建築物の環境品質・性能(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること、
(3)「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Building Environmental Efficiency)」で評価する、という3つの理念に基づいて開発されました。
BEEによるランキングでは、「Sランク(素晴らしい)」から、「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」という5段階の格付けが与えられます。
住宅型式性能認定
「住宅型式性能認定(型式認定という)」とは、住宅又は、住宅の部分で大臣が定めるもの型式(平成12年建設省告示台1655号)が「評価方法基準」に従って表示すべき性能を有することをあらかじめ審査し、認定するものです。認定を受けた住宅又は住宅の部分は、住宅性能評価時にその設計仕様との照合のみを行うことで済み、詳細の評価(計算書や試験データ等の確認)は不要となり、評価の合理化がはかられることとなります。
型式認定に必要な事項の補助、お手伝いを行っております。